KOJI YUKI

結城 幸司 Yuki Koji

プロフィール

1964年釧路生まれ。
版画・木彫り・音楽活動・語り部などを精力的に行う。アイヌアートプロジェクト代表。カナダやニュージーランド、北欧のアーティストとの交流が多数あり、2011年フランス、ルーブル博物館にてストーリーテーリングのほか、道内外で個展やグループ展を多数開催。また、八剣山ギャラリー常設展示、原画・原作アニメーション『七十五郎沢のキツネ』の制作も行う。掲載された雑誌は、家庭画廊、エッセイトワトワト、別冊太陽、挿絵等、岩波文庫『ピリカチカッポ』、藤原書店『新しいアイヌ学のすすめ』の表紙絵など。スウェーデン・グラーノの湖畔にモニュメントも制作。

アイヌ工芸の制作向き合う際に大切にしていること、今後の展望や挑戦したいこと

アイヌ文化の伝統の美しさを知っています。工芸の匠は素晴らしい。でも、そこに流れている源流は、なんであろうと考えると、自然という人間が生きるのに不可欠な世界への礼節と祈り、そして感謝がアイヌ文化の源流であると感じた時に、先人の作る人の想いの世界を感じるのです。特に、途切れる事なく受け継がれたユカㇻという神話の意味の深さをこの時代に生きる私なりに自然の中に生きる命の物語を作って行けたらと考え、版画という表現方法にしています。

SHIGERU ARAKI

荒木 繁 Shigeru Araki

プロフィール

石狩アイヌの末裔として札幌に生まれる。15歳より兄から木彫りを教わり、現在までアイヌ伝統工芸に携わり、数々の作品を生みだしている。アイヌ民族の伝統的な生活用具やオリジナルの作品まで幅広く手がけており、木の特徴や特性を生かした巧みな彫刻技術は内外から高い評価を得ており、その豊富な知識や経験を生かし、アイヌ文化を一般市民に紹介し、普及活動に尽力しているほか、木材工芸の講師として、技術指導を通じて、アイヌ子弟、後継者の育成にも力を注いでいる。

アイヌ工芸の制作向き合う際に大切にしていること、今後の展望や挑戦したいこと

手を抜かない作品作り、依頼のあるものに対し柔軟に対応し、常に挑戦をしている。
これからの将来、様々に変化していくであろう、100年後の『木彫り熊』を見てみたい。

YUKA HAYASAKA

早坂 ユカ Yuka Hayasaka

プロフィール

アイヌ民芸品店を営む両親のもとで、幼い頃からアイヌ文化に触れ育つ。木彫、刺繍作家である母から受け継いだアイヌ刺繍をはじめ、女性の仕事である伝統工芸、茣蓙やバック等の制作も行っている。
その他、伝統舞踊や伝統音楽をアレンジしたアイヌ音楽を演奏するアイヌアートプロジェクトの一員として音楽活動に参加するなど様々な活動を精力的に行っている。

アイヌ工芸の制作向き合う際に大切にしていること、今後の展望や挑戦したいこと

母から受け継いだ文様を自分なりにアレンジし伝統からアートへ文様の世界を広げていきたいと考えており、見てきた、学んできただけの文化ではなく血から湧き出る感覚で作品制作をしています。
文化を禁止され、それでも失われず私たちへと繋がってきた大切な美しい文様の世界を見る人にも感じて欲しいと思っております。
このアイヌモシリ(北海道)で独自の文化を育んできたことをこの地に暮らす全ての人々が理解し、文化の伝承を途絶えさせないよう、自分もスキルアップしつつ活動していきたい。

MASAYOSHI HAYASAKA

早坂 雅賀 Masayoshi Hayasaka

プロフィール

1967年旭川生まれ。曾祖父から続く彫刻家の家系に生まれた。幼少のころから両親が彫っている姿を間近に見ていたことが現在の礎になっている。家が貧しかったこともあり、中学卒業と同時に働き始め、今まで様々な職業を経験。
30代から本格的に彫刻をはじめ、40代から知床でアイヌ初の先住民族ツアーガイドに14年間従事。現在は札幌で彫刻・伝統舞踊・伝統楽器の演奏などの活動等を行っている。

アイヌ工芸の制作向き合う際に大切にしていること、今後の展望や挑戦したいこと

彫刻を本格的に始めたのが30代からですが、母親が彫刻家、刺繍家として有名な方でしたので誰もが当たり前に彫刻をできると勘違いされていたこともあり、当時の自分にはかなりのプレッシャーでした。それから数年が経ち、ある程度彫れるようになってからは『もっともっと繊細な文様を掘りたい!』と思い始め、特に好んで彫ったのは伝統文様のウロコ彫でしたね。とにかく細かい文様を掘りたかったので、10数年前から1ミリのウロコ文様を掘ったりして、どこまで細かい文様をほれるかチャレンジしていました。さらにそれから数年が経ち、考え方も変わり、『彫刻で自分の考え方が伝えられたら!』ということが最終目標になり、自分の作品を手に取ったり、買って下さったりした方々が幸せを感じたり、衝撃を受けたり、感動をしていただいたら最高ですね。
これからは、現在自分の主力作品であるトンコリ、アクセサリー類、そして知床で出会った、キムンカムイを今まで以上に優雅な姿として制作していきたいと思っています。

TOMOKO HOSOKAWA

細川 智子 Tomoko Hosokawa

プロフィール

1958年、阿寒湖畔アイヌコタン生まれ。両親ともに彫物をして店をやっていた。3歳ころには、阿寒湖からは離れており、着物を着せてもらって踊ったりしていましたが、ほとんど覚えていません。34年前、結婚を機に、内職として、刺繍を始めました。現在も、アイヌコタンで店を出している叔母に、一から教えてもらい、ずっと続けています。着物や陣羽織等、大きなものを制作し、できあがったときの『達成感』は癖になり、やめられません。

アイヌ工芸の制作向き合う際に大切にしていること、今後の展望や挑戦したいこと

独自の文様を考えるのは難しいですが、本や他の方の文様や刺繍を参考に、自分なりに少しずつ、楽しみながら作成しています。伝統的な物も素晴らしいと思いますが、これなら『着たい』『使いたい』『欲しい』と思われるような品物を作っていきたいと思います。

TAKEKO KAIZAWA

貝澤 竹子 Takeko Kaizawa

プロフィール

平取二風谷出身、現在は札幌に在住。幼少の頃からい頃から祖母や母からアイヌ工芸品を教わり、アットゥㇱ織や糸作りに携わる。現在もアットゥㇱ織をはじめ、サラニㇷ゚・チタラペ・刺しゅう作品まで幅広く手掛けている。公益社団法人アイヌ協会の優秀工芸師、公益財団法人アイヌ民族文化財団の伝統工芸師に指定されている。

アイヌ工芸の制作向き合う際に大切にしていること、今後の展望や挑戦したいこと

手抜きをしない。アットゥㇱ織では縦糸が、平均400本前後であるところを、縦糸を500本以上にこだわり制作をしている。ゆっくりとアットゥㇱ織をして過ごしたい。

TAICHI KAIZAWA

貝澤 太一 Taichi Kaizawa

プロフィール

平取町二風谷在住。「NPO法人ナショナルトラストチコㇿナイ」理事長。二風谷で生まれ育ち、酪農学園大学を経て「北海道立アイヌ民族文化研究センター」に研究者として16年勤める。2011年より二風谷に戻り、家業の「シケレペ農場」を継ぎ、低農薬米栽培や無農薬トマト作りなど、安全で美味しい作物づくりを目指し日々奮闘している。併せて、自身のアイデンティティであるアイヌ文化の精神や技術・文化を伝える活動を、木彫りやイラストデザイン、「シケレペキャンプ」などの体験キャンププログラムを通じて体感してもらう活動も行っている。

アイヌ工芸の制作向き合う際に大切にしていること、今後の展望や挑戦したいこと

木彫り作品を作るにあたり、できるだけ地元の材料を使うことにこだわっています。二風谷地域は、沙流川という森林が豊富に残る河川流域にあるため、サクラやエンジュなど、木質や見た目が特徴的な材料も多く自生しているので、それらの木材の特徴を生かしながら、二風谷の材料で二風谷の工芸品を作ることにこだわって製作しています。
また、古くなった家の梁、古い碁盤板など、木材の再利用による彫刻品の作成にも手掛けており、木彫の材料を大切にすることで、北海道の森林環境を守りながら後世に守り継いでゆくモノづくり、を目指しています。
今後は、これまで同様、沙流川流域の木材を使い、無駄な材料調達をしないなどのことに気をつけながら、伝統工芸品の大切さ、豊かさを伝え、同時に、森林の大切さについて訴えかけられるような創作活動を展開してゆこうと考えています。
また、彫刻品だけにこだわらず、レーザー加工機を活用し、木製品、クリアボトルなどのFRP樹脂製品、デニムパンツなどを布製品使った、身近で手に取りやすい作品造りにも力を入れたいと考えています。

CHIYOMI FUJIOKA

藤岡 千代美 Chiyomi Fujioka

プロフィール

札幌市出身。刺繍作家・アイヌ文様監修・デザインなど作家歴30年。アイヌ伝統古式舞踊 札幌ウポポ保存会所属。作品は関東などセレクトショップにて展開し受注販売を行っている。刺繍作品や古式舞踊を通し、前向きで明るい形での発信を大切にし、アイヌ文化の啓発・普及に努める。

アイヌ工芸の制作向き合う際に大切にしていること、今後の展望や挑戦したいこと

大切にしていることは、札幌ウポポ保存会の伝承活動です。保存会を通した活動により、儀式に参列し踊りをカムイに奉納する。アイヌ料理やその他アイヌ文化に触れることが唯一できる場所です。現代では難しい、かつての生活や思いを感じることで、アイヌ文化の精神性や文化を理解し、物作りに思いを込め、唯一無二の作品になるよう心掛けています。今後、アイヌ刺繍や文様が、例えば国内外に刺繍教室などができる、メインカルチャーに発展してくれる世界になるよう、近い未来の展望向け、新しいものに挑戦しながら制作活動をしていきます。

KAYO WATANABE

渡邊 かよ Kayo Watanabe

プロフィール

阿寒湖アイヌコタン在住。アイヌ文化伝承者、阿寒アイヌ協会会長。幼少より阿寒湖アイヌコタンにて歌や踊りに触れ育つ。阿寒アイヌシアター「イコㇿ」の歌い手リーダーとして踊りの指導にも取り組むほか、国立アイヌ民族博物館に於いて、阿寒地方の古式舞踊の指導にも尽力する。

アイヌ工芸の制作向き合う際に大切にしていること、今後の展望や挑戦したいこと

刺しゅうは、ひと針 ひと針丁寧にを心がけています。舞踊の活動が中心なので。その合間にコツコツと物作りも頑張りたい。イコロの歌舞手は定年しないで、ずっと続ける!

YUJI YAMADA

山田 祐治 Yuji Yamada

プロフィール

やまだ民芸社・彫刻師。北海道白老町在住。1968年、アイヌ彫刻師の父(故)山田国雄氏に師事。木彫り熊など数多くの作品を製作し、北海道知事賞をはじめとする数々の賞を受賞。
現在は「やまだ民芸社」代表として、作品を作り続けている数少ない彫刻師の1人。

アイヌ工芸の制作向き合う際に大切にしていること、今後の展望や挑戦したいこと

素材を生かす、木を生かした制作を心がけています。現在、熊やフクロウを中心に制作するのに精一杯で、伝統工芸を制作する時間があまりないので、今後できるならば時間を作りニマやイタなどのアイヌの伝統工芸を制作してきたいです。